
花泥棒。
最寄り駅の一つ手前の駅で降りて
暗い公園の脇を通り抜け
都県境の川のやはり真っ暗な遊歩道を歩き
柵の雑草に混じった紫陽花の株
少し歩いては一輪
合計で四輪
紫陽花の花を貰って帰途につく
紫陽花は妻が好きな花でした
来月で四年経ちます
あの時私が泣くとお父さんが辛いからと涙を堪えた小学生の娘はもう高校生
人の記憶は曖昧で
沢山笑ったり泣いたり怒ったり
そんなことのひとつひとつが朧気になり
遠い昔のようです
あんなに悲しくて仕方なかったはずなのに
今は泣かなくなったよ
梅雨と紫陽花と妻の命日
そんな季節
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