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2006.10.12

「地下鉄(メトロ)」

東京住まいが長かったこともあり、地下鉄は必要不可欠の乗り物でも有りました。
ただ本当はこの地下鉄、あまり好きではないんです。
理由はただ一つ、景色が見えない事。
地下鉄なんだから、景色が見えないのは当たり前だろうって言われるかも知れませんね。
本を読むのにも車内は今一暗い。
それでもって車窓に映る自分の顔を見るのが、嫌ですね~。
薄くらい照明を後ろから浴びて、窓に映っている自分の顔、大体が朝一であり、夜である訳で寝ぼけ眼の顔か、一日の疲れが出ている顔が映し出されるわけです。
「お前は誰だ」といつも心の中で問いかける、答えは決まって「お前だよ」なので有ります。

地下に潜っている異空間というのも少々不気味。
地下鉄の駅から地上に出てみると、違う時代に行っちゃったりするんではないか、突然の大地震で地下に閉じ込められちゃうじゃないかとかね、小説の読み過ぎって事なんでしょうけどね。
前者は今度映画化される浅田次郎の「地下鉄に乗って」、後者は椎名誠の「地下生活者」だったかな。
浅田次郎の小説の中に流れる「せ・つ・な・さ」、娘の霊に導かれる鉄道員(ぽっぽや)、主役になろうと撮影中にエキストラで参加してしまう元女優、自らを犠牲にしてしまった少女達、捨ててしまったせがれをあの世から探しに来るおやじ、戸籍を貸して架空の夫になる男や、・・・。
何処かしら皆、切なさを背負っている登場人物が多く、ただ泣かせるだけではなく笑いのセンスが良いので、そこが好きで読んでしまう作家でもあります。
「地下鉄に乗って」も叱りで、ある決意を持って自分が生まれる前の頃の母の作ってくれたおにぎりを頬張る娘・・・やはり切なさがね、いいです。
この小説を読んだとき、不思議なトリップ感が有りました。
まだ地下鉄での通勤者だった頃だったので、ふとタイムスリップなるものが本当にあるかも知れないと考えたことがありました。
娘が生まれたばかりの頃で、もしかしたら20年後とかの娘が今の僕を見に来ているんじゃないかとかね。
目の前の女性が20年後の娘だったりとか思ったりしてね。
態々愛に来たりするのは、って事は僕は若いうちに亡くなって至りするのかな~とか分けの分からないことを考えていた物です。

映画「地下鉄に乗って」、いい映画になっているといいなと期待してます。
でもやはり地下鉄は嫌いです。

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