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2005/11/02

ゴロ蝶って

先にご紹介した知来要さんの『森のフィッシュ・ウォッチング』。
その中で「ゴロ蝶」に触れられてあり、養殖研究所日光支所の洋館で見知らぬ老人に「こんな感じの毛バリだよ。」と教わったと書かれていました。
快釣之出来る「ゴロ蝶」毛鉤って何?どんなの?
ゴロ蝶はごろっちょとも言い、著書の中にも出ていましたが、ヒゲナガトビケラの事。奥日光の鱒が好むという。
毛鉤の場合は、霜降りの鴨や薄い赤茶の雉で巻いた沈み鉤。

そう言えば湯川のお仲間もヒゲナガには特別の思い入れがあったなと、仕事で徹夜中にも拘わらず、検索作業に脱線していくのであった。

このゴロ蝶毛鉤は日光毛鉤とも呼ばれ、みの毛はメスのキジの胸毛、胴はゼンマイの綿毛を使って巻かれています。
日光鉤1号は金色や白糸のリビングで変化をつけます。
日光鉤2号は胴を太目に巻き、ウィングとしてキジの胸毛のティップを斜めにつけます。
日光鉤3号は胴を太目にし、テールにキジのファイバーを数本つけます。
(参考文献 : 別冊フィッシング 第22号 入門日本のフライフィッシング 産報出版 1981)
雉を使わず他の毛では、釣果が思わしくなかったとまで有ります。
My Best Streamsの中のTraditional Japanese Fly Tenkara 2で紹介されています。

ゴロ蝶で検索すると、仲間のkajiさんの「Kajiの備忘録」にて紹介されている湯川鱒毛鉤釣史研究室での紹介されている古文書にたどり着きます。
ヒゲナガカワトビケラの幼虫さなぎと成虫は湯川フリークには切っても切れない必需品で、多くのフライが多くのタイヤーに依って巻かれています。
ゴロ蝶=ヒゲナガカワトビケラで日光毛鉤なるものが分かった時点で止めておけばいいのですが、「なぜ湯川にヒゲナガカワトビケラが多いんだろう」と更なる脱線をしてしまいます。
日光・湯川におけるヒゲナガカワトビケラの高密度分布
(1)湯ノ湖の富栄養化に伴い食物である流下ソウ類が豊富に繁殖している。
(2)湯川における生息地の底質(川床構造)はこぶし大の石が2~3層に浮き石で構成され、同昆虫の巣を作る空間が一般的な生息地のものよりも多い。
(3)ヒゲナガカワトビケラ幼虫にとって洪水など流量の急激な変化は個体数を減少させることがある。栃木県水質年表によれば、年間の最大流量を最小流量で割った流量変動比は湯川で2.0、鬼怒川上流域で28.0、蛇尾川では69.7、那珂川中流域で13.0である。このように、湯川の流量は年間を通して他の河川に比べずば抜けて安定しているため、流量の急激な変化による個体数の減少が少ない。
(4)これまで、成虫の産卵遡上が湯滝で制限され、湯滝直下の湯川で産卵が行われるため、ヒゲナガカワトビケラ幼虫が高密度に湯川に生息する「滝の遡上阻害説」が考えられていたが、今回の調査により湯滝でも産卵が行われ、滝自体が最大の生息場所であることを発見した。
(5)湯ノ湖・湯川ともに高地にあるため、水温が低く有機生物があまり酸化しないことと、バクテリアなどの水を腐敗させる生物があまり繁殖しないため、ヒゲナガカワトビケラの個体数が減少しない。
ときちんとクラブ活動で調査をしてくれている栃木県立宇都宮工業高等学校の生徒さんたちがいました。JSEC 2004

このJSECとはジャパン・サイエンス&エンジニアリング・チャレンジの略で、高校生・高等専門学校生(3年生まで)を対象とした全国規模の科学コンテストで、既存のジャンルにとらわれない先進的かつ意欲的な「科学技術自由研究」の成果を広く募集していますとの事です。
野球の甲子園とかラグビーの花園とか、運動部系と違って桧舞台の少ない文化部の活動の励みになることでしょうね。

ここまでくると何でヒゲナガカワトビケラが「ゴロ蝶」と呼ばれていたのかが、知りたくなってしまうのも悪い癖。
栃木特有の方言でなのかなと思って、栃木のことばというサイトにまで入ってその語源を探すのですが、結論は見つけられず仕舞。
それよりも東京生まれの東京育ちの当方、普段何気なく使っている言葉の中に「栃木弁」を発見し、やはりルーツなのかと思うので有ります。

ここで勝手な推測。
今でも固体数の多いヒゲナガカワトビケラ、昔はもっと多かったのではないかと。
そこら辺にごろごろいる(沢山いる)虫ということで、「ごろ」とか呼ばれていてそのうち接尾語の「っちょ」が付いて「ごろっちょ」。
本来はごろっちょが正しかったが、「っちょ」が「ちょう」に聞こえて虫だからということで「蝶」の字が当てられた。
それで「ごろ蝶」になった。
      な~んてね。


「ナンチャッテ・ヒゲナガ」何て巻いていないで、ちゃんとしたヒゲナガフライを巻いて来年の湯川釣行に備えたいと思っているうちに朝となりました(涙)

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