久しぶりの開高本
『旅人 開高健』高橋曻著、つり人社発行
久しぶりの開高本です。
ご存知、著者高橋曻氏は「オーパ!」シリーズでアラスカ、モンゴルなどこのシリーズ中、作家開高氏にカメラマンとして随行されています。
その「オーパ!」シリーズで使われた多くの写真と、旅先での開高氏との思い出とエピソードがいっぱい詰まっっているのがこの本です。
旅を供にした者でしか分かり得ない、生身の等身大の作家の姿がそこにはあります。
元号が昭和から平成に変わった1989年に暮れ、12月9日食道腫瘍に肺炎を併発し逝かれた開高氏。
没後16年、ようやくにして久しぶりのそして最後になるであろう開高健本です。
帯にはこうあります。
「ええか、男はナ、
上を見て生き、
下を見て暮らさないかんのヤ。
そういうこっちゃ。」
とある、ぐぐっと来るものがある。
数年前にベトナムのベトコントンネルの全容が明らかになったというNEWSが流れたとき、開高氏が生きていてたらどんなコメントをしてくれただろうと思ったものでした。
そしてソビエト崩壊、東欧の民主化。
今回の湾岸戦争、イラク戦争。
モンゴル草原でのチンギス・ハーンの墓陵の発見。
川辺ダムの問題、外来生物法。
庶民の夢を金で解決しようとする今のご時世を
開高節でばっさり斬って欲しかったなと思うのであります。
昭和と共に去って逝ってしまった作家、やはり早過ぎる死でした。
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