特定外来生物法に気を取られて今まで気付いていなかったのですが、巷ではSOLAS条約改正で都市部の港の防波堤での釣りがかなり制限されてしまったことを知りました。
お気楽に防波堤で釣りでもしようかなどと言っていられないようになっていたんですね。
平成16年7月1日から、SOLAS条約(海上人命安全条約)の改正により、港湾内の岸壁等での保安対策が強化され、このため港への出入りが一部禁止されます。
2001年のニューヨークの同時多発テロ事件以来、港湾や航行船舶の安全確保が世界的な枠組みの中で厳しく求められるようになり、国際条約(SOLAS条約)で2004年7月1日までに世界中の外航船の出入りする港湾で実効性のある保安対策を整えることが義務付けられました。
SOLAS条約とは
多くの犠牲者を出したタイタニック号の海難事故を契機に、国際条約を取り決める気運が高まり、当時のドイツ皇帝の提唱により、大正3年「海上における人命の安全のための国際会議」が欧米主要海運国13カ国の出席のもとに開催され「1914年の海上における人命の安全のための国際条約」として採択されました。これがいわゆる「SOLAS(ソーラス)条約=海上人命安全条約」です。
それまで各国がそれぞれの国内法で規定していた船舶の安全性確保等を内容としたものです。
海上の安全確保を目的とした常設政府間協力機関であるIMO(国際海事機関)が、2002年12月にSOLAS条約を改正し、2004年7月1日(改正条約発効日)までに国際貨物船等並びにこれらの船舶が使用する港湾施設において保安対策を実施することを義務化しました。
保安対策を行う目的は?
船舶所有者、港湾管理者に対して保安の確保のための措置を講じさせることにより、国際海上運送システムの信頼性の向上を図り、併せて急迫した脅威が認められる船舶の入港を拒否することにより、国際海上運送への不法な行為の防止を図ることが目的です。
日本は安全な国だから保安対策の必要は無いのではないか?
SOLAS条約の保安対策は、世界中の船舶や港湾が国際基準に基づいた保安対策をそれぞれ実施することにより、国際的規模の安全システムを構築することですから、日本だけ、あるいは、個々の港だけが保安対策を行わないということは許されません。
港での保安対策が不十分であると、その港から出港した船が相手港に入港拒否されたり、あるいは外航船舶がこの港に入港しなくなる可能性があります。 |
その改正の主旨は
(1)船舶自動識別装置(AIS)の早期導入
(2)船舶識別番号の表示
(3)履歴記録の備え付け
(4)保安計画の策定等
2004年7月1日までに、国際航海に従事する旅客船及び総トン数500トン以上の貨物船並びにこれらの船舶が使用する港湾施設を対象に以下を措置すること。
船舶内の立入制限区域の設定、船内巡回の実施、部外者の出入りのチェック等を内容とする船舶保安計画の策定及び船舶保安計画に責任を有する保安職員を船舶及び会社のそれぞれに配置すること。
港湾施設内の立入制限区域の設定、港湾施設への出入りのチェック等を内容とする港湾施設保安計画の策定及び港湾施設保安計画に責任を有する保安職員を配置すること。
(5)警報装置の導入
(6)寄港国による監督措置
500トン以上の船ですので、小さな漁船の集まる漁港では、この条約の対象にはなっていないのですが大都市部の港ではそういう訳にはいかないようです。
国際船舶・港湾保安法に基づく埠頭保安規程等の承認について
関東に限って説明しますと
日立港、
常陸那珂港、
大洗港、
鹿島港、
木更津港、
千葉港、
東京港、
川崎港、
横浜港、
横須賀港のPDFファイルに赤く表示してあるところは立ち入り禁止箇所とされ、すでにフェンスの施工、もしくはその施錠が為されているとのこと。
<問い合わせ先>
関東地方整備局港湾空港部港湾保安管理官
Port Security Inspector, Port and Airport Department
Kanto Regional Development Bureau, MLIT
TEL 045-211-7427(直通)/ +81-45-211-7427
今までの様に「まあ大丈夫と」黙認されていたケースとは180度の違反者に対しては厳しい処罰が出されているとの事。
この保安対策事業が、過去においての荷役の邪魔、ゴミ放置、違法駐車などという迷惑レベルではなく、国際的な保安対策という国家事業の性格をもつもので、港湾保安対策強化事業費として、ハイレベルな予算が計上されており、従来よりも強固なフェンス、監視システム、照明設備などの設置、警備員の配置が進んでいます。今後、より締め付けが厳しくなる一方と言える性格のものらしいですね。
どうすればいいかの答えは一つ。立入禁止場所に入らない。
フェンスや金網を破る、ゲートの鍵を壊す、ハシゴを掛けて乗り越えるなど、施設敷地内に忍び込んだりすると、一罰百戒で器物破損や不法侵入で刑事告発される可能性もある。監視カメラ、センサー、夜間照明、常駐保安員が配備され、警察、海上保安庁との連携も協議済みですから、強引に突破するとその場で摘発される可能性大です。
「知らなかった」は通用しない、誰かの置いたハシゴを使ったと言っても言い訳にはならない。
壊したフェンスやゲートの弁償どころか、悪質な場合は"釣り人を装ったテロリストかテロ協力者"とみなされ、勾留の上で取り調べを受けるという、大きな代償を支払う事になる。
沿岸掃除隊
Fishing has now become a craze. の記事参照させていただきました。
改正SOLAS条約発効、その後……
海辺で釣りをしてみると確かに渓流でフライをするのとは明らかに違うスポーツがそこに存在しているように思えてならない光景を目にします。
まずゴミ、明らかに流れ着いたものではない釣り人のゴミ、弁当の空き箱・ペットボトル、仕掛けの袋、が平然と捨てられていたりします。
また暖を取る為にゴミや流木を直火で燃やしたりした跡など、あってはならないことが平気でしてあったりします。
フェンスのよじ登り、一部をこじ開ける、又はこじ開けた跡、モラル不在の無法地帯。
港湾立ち入り制限取材でトラブル全日本釣り団体協議会
マスコミからの厳しい追及もそこにはある、それ以前にルールにのっとった遊びをしましょうの一言に尽きるのではないでしょうか。
もう一つ不思議なことなのですが、コレだけの国際的な保安対策であるにも係らず、釣り人に対して告知なり警告を発するという対応している釣具メーカー・釣り雑誌(特にルアー関連)が非常に少ないということ。
国際も国家も大臣も世論も学者もマスコミも寄ってかたかってうちの業界をいじめまくってとひがんでばかりいないであるべき姿勢を示してバッシングの対象にならないように方向性を打ち出す必要があると思います。
-釣行時の安全装備と危険回避の知識-
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